第182章

ユゴスの母、リリス夫人はやり手の大商人だ。自前の商会――アイリス商会を持ち、ここ数年でサン・ロット城内でもそれなりに名が通るようになった。店をいくつも構え、扱うのは異国の香辛料や宝飾品、工芸品が中心。客層は貴族が多く、商売は順調そのもの。

ユゴスがサン・ロット城へ留学する前には、リリスがさらに、貴族の住む上城区と中城区の境目に、なかなか立派な別邸まで買い足していた。おかげでユゴスの暮らしぶりは、上城区の貴族と比べても見劣りしない。

そしてアリシアが買い物へ出るとなれば、上城区から中城区へ下りる道を通る。必然、ユゴスの住まいの前を横切ることになるわけで――本来は誰も連れずに行くつもりだった...

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